こんにちは。防炎・災害対策は皆さん、日頃からされていますか?
今日は、災害医療についてのお話です。
要配慮者とは
被災地では、自分の住み慣れた家を離れて、同じ空間に様々な方が集まってきます。
だれもが、異なった環境で不安を抱いての生活を強いられるのですが、それでも、特に気にかけて欲しい方々がおられます。
高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者を要配慮者と定義しています。
その他の特に配慮を要する者の方には、日本語を話せない(その国の言語を話せない)外国人の方、妊産婦さん、慢性疾患を抱える人も入ります。
今回は要配慮者である子供の災害時に抱える問題や特性について考えていきたいと思います。
子供の災害ケア
子供が災害により、恐怖体験をした場合、大切な何かを失うという突然の喪失体験、環境の変化は子供の活動を制限する要因となります。そして、子供の発達に影響を与えることになります。
特に両親、養育者を失った子供には長期的な心のケア、支援が必要です。
だれでも、自然災害や人的災害によりトラウマを受けると、ストレス反応が生じます。トラウマ後のストレス反応は、時間とともに薄らぎます。しかし、中にはストレス反応が長引き、子供の発達に影響を及ぼすことがあります。
子供の急性ストレス障害
急性ストレス障害:acute stress disorder(ASD)は、突然に非日常的は出来事を身に起きたときの、自分を守るための反応であり、ほとんどの場合は、時間的経過とともに、反応や頻度は軽減します。
1か月未満であればASDといわれ、長引くと心的外傷後ストレス障害(PTSD)を疑います。子供の急性ストレス障害を身体反応、感情反応、行動反応に分けて考えます。
身体反応:不眠、頭痛、身体の疼痛、嘔気、嘔吐、食欲不振、過食、めまい、頻尿、アレルギー反応、発声できない、視野狭窄、倦怠感、息苦しい、ため息が多いなど
感情反応:不安、怒り、孤独感、罪悪感、無力感、自傷行為、他者との交流の低下など
行動反応:過度のおびえ、引きこもり、赤ちゃん返り、暗いところを異常に怖がる、落ち着きがない、対人関係のトラブルなど
年齢別のトラウマ後のストレス反応
乳児:母親や養育者が不安になると乳児にも伝わり、不機嫌、夜泣きが増え、ミルクを飲む量が減ります。避難所では、母親が母乳を安心して与えらるような環境の配慮が必要です。
幼児:災害を自分に引き寄せて理解しようとする傾向があり、「自分のせいで地震が起きた。自分がいい子じゃないからママがいなくなった。」などと理解し、不安になることがあります。言葉の理解や会話ができないため、不安定な感情になります。大人は、起こった出来事を幼児と話す場を作り、分かりやすく説明します。災害のニュースの映像は恐怖体験を繰り返すことがあり視聴を減らすことが必要です。赤ちゃん返りは災害経験を受容できないサインでもあり、安心できる声かけ、寄り添うことが必要です。
小学校低学年児童:親や兄弟、親しい人を亡くした子供は、否認が強くなります。友達と地震ごっこ、津波ごっこをして起こった現実を整理し、理解していきます。大人は正しい情報、必要な情報を搾り、安定した態度で接し、子供に簡潔にゆっくりと伝えます。時間が経過することによって、子供の心は平静を取り戻してきます。
小学校高学年:身近な人の死から生き残ったことへの罪悪感をもち、よい子を装うことがあります。対応は、自立心を獲得している過程であり、「自分の行動」をコントロールできるように支援し、学校生活が送れるように環境を整えていきます。少しずつ、自己回復力が高まってきます。
思春期の子供:不安や恐怖のために外出ができなくなる、以前に自分でできていたことが出来なくなることがあります。辛い気持ちや不安なことを人に話せないことが多く自分の中で抑えようとします。対応は、具体的な対策を本人と一緒に考えていくようにします。友人や家族のサポートも回復の促進に大きな役割を果たします。
親を失った子供のサポート
災害により、大切な親を失った場合の子供の悲しみは、想像を絶します。悲しみ、泣き続けます。
死を否定し、動揺します。
時にはおねしょ、指しゃぶりなどの赤ちゃん返りをおこし、落ち着きがなくなります。
子供の心身の反応や小さなサインを見逃さず、子供の悲嘆反応が、発達段階や個別性によって異なることを理解し、一人一人に合わせたケアを提供していきます。
子供は時間と共に回復する力を持っているため、否認、悲嘆の時期は寄り添い、気持ちに耳を傾けて話を聞くことを行います。
急性期の子供の状況把握
災害直後は、避難所に入る人は、避難者カードに個人情報を記入します。
氏名、年齢、家族、妊娠の有無、介護の有無などを記入することで、行政管理ができるようになります。
まず子供の生存と安全の確保を一番に行います。被災地での安全の確保ができた後に行うことは、
子供の居場所マップを作成することが推奨されています。こちらは、行政や医療スタッフが使用するためのものです。交替で引き継ぎを行います。
どこに子供がいるのか、どんな子供がいるのか、子供はだれといるのか、子供におきている今の状況は何かを確認します。支援団体同士での打ち合わせを行い、情報の共有を行います。
発達段階により関わり方の意見を出していきます。また、必要物品の準備を行います。
乳児には粉ミルク、お湯、紙おむつ、おしりふき、離乳食などが必要です。
幼児には遊びのおもちゃ(ブロック、つみき、おままごと、ぬいぐるみなど)
文房具(紙、画用紙、クレヨン、色鉛筆、塗り絵、折り紙など)を用意します。
健康管理
子供の健康管理として、安心して睡眠がとれる場所であるか。ベットは3日以内には搬送されて段ボールベッドが出来上がります。避難所によっては、備蓄してあるところがあり、すぐに作成できます。
トイレは閉鎖的空間に配慮できており、家族で過ごす場所は落ち着いて使用できるかにも気を付けます。
遊び場とストレス発散が適度にできるのかなども配慮します。簡単な体操を子供と大人が一緒にできるような機会を作ります。
子供は地震や津波などの出来事を整理しようとして、地震ごっこなとど再現遊びをすることがあります。危険でないかを見守りつつ、子供の気持ちを整理できるように大人が受け止めてあげます。
ケアを要する子供
医療ケアを必要とする子供がいる場合は医療機関と連携し、生命に必要な機器や処置を行います。
酸素、吸入、吸引、薬、注射などが必要な子供
自閉症スペクトラム症や情緒や認知面での障害がある子供
視覚や聴覚の障害を持つ子供
てんかんや気管支喘息、糖尿病など慢性疾患を持つも子供
被災前から精神の問題を抱えている子供
などは必要な医療の提供ができるように、対応を検討していく必要があります。
子供は一見、元気に見えますが、心の問題は目に見え難く、特に夜間は精神状態が不安定になりやすいです。
また、発達段階に応じて、症状も異なります。
子供への配慮が後回しになりやすいことがあるため、大人の理解が大切です。
今日も最後まで読んで下さりありがとうございます。