今日は、毎日の身近な生活に関わる学習と記憶についてのお話です。
学習とは新しい物事の情報や技術を獲得する過程です。
また記憶はその学習過程の中で作られた脳内の表現です。
記憶には試験のように言語的に再生されるものから、水泳の泳ぎ方・自転車の乗り方のような運動など非言語的に再生されるものがあります。
ここでは、学習と記憶の種類と記憶が脳に固定化されるメカニズムについて見ていこうと思います。
お付き合いよろしくお願いいたします。
海馬が記憶の形成に重要な場所
脳のつくり
大脳辺縁系は大脳の内側部にあります。主な構成要素として、辺縁葉、海馬、扁桃体、乳頭体、中隔核などがあります。
その海馬について記憶の形成に重要な役割を果たしています。
海馬はさまざまな情報を内側側頭葉にある海馬傍回の一部である嗅内皮質から受け取っています。
海馬にある4領域(CA1~CA4)のうち、CA1とCA3 が重要です。
嗅内皮質からCA1への情報伝達には、直接経路と間接経路の2つがあります。
この2つのどちらが損傷されても記憶障害が起こることが分かっています。
感覚記憶と短期記憶と長期記憶
長期記憶の種類
「イルカ」の形や存在は意味記憶なのですが、最初から意味記憶として存在していたのではないのです。
水族館に行ったときにイルカショーをみたとか、水槽の中で気持ちよく泳いぐイルカをみたとか、海でイルカと泳いだ‼(ドルフィンダイビング)など印象が強いエピソード記憶が自分の中で少しずつたまり、しだいに意味記憶が形成されていきます。
運動技能の学習は、その動作の反復を通して行われます。練習するとその技能はより正確かつ迅速になり、かなりの長期間ロバストに保持されます。学習の最初のころは、意識的注意と認知的制御が必要になりますが、学習が進んでいくと、それほど注意をしなくても、動作が行えるようになります。しばらく運動をしないと、パフォーマンスは低下しますが、練習をすればまた元にもどります。
これは、スキーやスノボーなどをイメージすると分かりやすいですね。初めてスキーをするときは道具の使い方から、学んでいきます。次に滑り方。リフトの乗り方。転び方⁈ 転んだ後に起き上がる方法 などなど。
プライミングは事前に与えられた情報により、当該情報の処理が促進されることです。意味的プライングと知覚的プライングがあります。
課題に関した意味的知識を直前に与えらることで、それに続いて示される情報の意味処理が促進されることです。例えば、
ターゲットとして提示された文字列のターゲット刺激バナナの直前にプライム刺激と呼ばれる単語 リンゴや 花 を見せるとプライム刺激が意味的にターゲット刺激の単語と関連している場合には、関連条件の方が反応時間が短くなることが分かっています。
関連条件: リンゴ ⇒ バナナ
無関係条件: 花 ⇒ バナナ
条件づけとは、ある条件刺激の提示により元々は引き起こされなかった行動を引き起こすように学習させることです。パブロフの犬が有名な実験ですね。
私は、レモンや梅干しを見ると、口の中に唾液があふれてきます。
記憶の階段
知らない事柄を短期記憶にする。
短期記憶を長期記憶に移していく。
暗記記憶をするときは、今短期記憶をしているのか、それとも短期記憶を長期記憶に移しているのかを理解しながら暗記できると良いのです。
また、イメージを付けて覚えると長期記憶に入りやすくなります。
何回も繰り返すことで定着します。忘れる前に覚えなおすことです。
寝る前に覚えて、朝起きた時に昨日覚えたことをもう一度覚えるのも効果があります。
学習の効果は記憶のシステムを知ることで、効率よく進んでいきます。
今日は脳のメカニズムの概要を取り入れた学習と記憶に関するお話でした。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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