災害の後のメンタルヘルスケア

person showing white and orange helicopter

阪神・淡路大震災が、平成7年1月17日(火)5時46分に発生しました。今から28年前のことです。

震源地は淡路島北部、震源の深さは約14kmで、規模はマグニチュード7.3と大変大きな被害が出ました。

大きな揺れ、恐怖を感じたことを今でも思い出します。このときの出来事を振り返り、

いつ起こるか分からない災害に日ごろから備えておくことが大切であると感じます。

目次

被害の大きさ

阪神淡路大震災による死者は6,434人に及び、高齢者、低所得者、外国人などが多く犠牲になったとされています。

震災による負傷者は約43,800人にのぼり、その多くは家具などの転倒、家屋の倒壊、落下物などによるものでした。

震災による死亡者の9割以上は死亡推定時刻が当日6時までとなっており、ほとんどが即死状態だった報告があります。家屋の倒壊や家具などの転倒が原因で圧死が多かった報告です。

住宅や事業所等の建築物や高速道路、鉄道、港湾、ライフライン等の全壊、半壊とも多数発生しました。

また火災、精神的ショック、閉じ込めによる死者や、病院で人工呼吸中の患者が停電による酸素供給停止による死亡例も報告されています。なんとか助かった方の中にはヘリコプターで避難場所に移動されました。

避難場所にかけつけたナースである友達からの情報では、近隣の小学校のグランドに運ばれたけれど、2週間以上も経過していたが、着の身着のままの状態だったと言います。骨折した四肢には、がれきがあてられ、包帯の代わりに衣類が巻かれていて、物資不足はもちろん、医療も受けれず悲惨な状況だったようです。

また、家族全員が亡くなり自分だけ助かった方の心のケアもできていない状況であったと聞きました。

人命救助にあたる人の心のケアも重要になってきます。強いストレス下に長期間おかれること、悲惨な状況で仕事をし続けないといけないことなど、辛いことが襲ってきます。

災害発生時の現場では救命医療スタッフはトリアージをしていかなければならず、その出来事に関して、トラウマが生じることがあり、実際に苦しんでおられる方もいます。人を助けるために懸命に働いてきた方が、心のケアができないと、長期的なPTSD症状に日常生活に影響を及ぼし、生きづらさを感じてしまいます。

心のケアチーム DPAT

心のケアは目に見えない分、身体のケアよりも後回しにされるのですが、大切であると私は感じます。

日本では2011年に被災地で「心のケアチーム」が活動しました。

発災直後より活動を展開しているのが災害派遣精神医療チーム「DPAT」

(Disaster Psychiatric Assistance Team/ディーパット)です。

自然災害はもちろん、その他では航空機・列車事故、犯罪事件などの大規模災害等の後に被災者及び支援者に対して「精神科医療及び精神保健活動の支援」を行うための専門的な精神医療チームです。

平成28年(2016年)熊本地震の被災地において、発災直後よりこのDPATは活動をしていました。

DPATによく似た言葉としてDMATもあります。

DMATは、災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されており、
災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Team の頭文字をとって略してDMAT(ディーマット)と呼ばれています。

DPATの活動条件

DPAT は、被災都道府県からの派遣要請に基づき活動すること。被災地での活動に当たっては、被災都道府県等の災害対策本部の指示に従う。

発災から概ね48時間以内に、被災した都道府県において活動。
DPAT先遣隊は、主に本部機能の立ち上げやニーズアセスメント、急性期の精神科医療ニーズ対応等の役割を担う。

1 隊あたりの活動期間は1 週間(移動日2日・活動日5日)を標準とする。必要に応じて、同じ地域には同一の都道府県が数週間から数ヶ月継続して派遣する。

DPATの職種 

  • 精神科医師※   ※先遣隊を構成する医師は精神保健指定医でなければならない。先遣隊以外の隊を構成する医師は精神保健指定医であることが望ましい。
  • 看護師
  • 業務調整員
  • 被災地のニーズに合わせて、児童精神科医、薬剤師、保健師、精神保健福祉士や公認心理師等を含めて適宜構成する。

精神保健福祉士

精神保健福祉士とは、精神保健福祉士法(平成9年法律第131号)に基づく名称独占の資格であり、精神保健福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者をいいます。

障害福祉サービス

精神に必要なサービスは様々なものがあります。主治医と相談の後、精神保健福祉士や市町村の障害福祉課のかたと連絡をとり、利用するサービス内容を検討して、市町村の窓口に申請します。

地域生活支援事業と自立支援給付の中から少し紹介します。(震災に関わらず利用できます)

・地域活動支援センター(居場所):創作的活動または生産活動の機会の提供、社会との交流。

就労継続支援:一般企業等での就労が困難な人に、一定期間、就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練を行います。雇用契約を結ぶA型と雇用契約を結ばないB型があります。B型では具体的に何をするかは利用者と面談をし、一定期間で評価をして次のステップに進みます。

グループホーム:共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行う。介護の必要がある人には入浴・排泄・食事の介護サービスも提供します。

精神医療において、患者さん、当事者、ご家族の一番近くにいる存在であり、その方の強みを見出し、社会復帰を支えていく、重要な職種だと感じます。 

リエゾンナース

リエゾンナースとは、精神看護専門看護師のこと。「リエゾン(liaison)」とは、橋渡しをする・連携する・つなげるという意味があります。
精神科看護の卓越した知識や技術を持ち、障害や疾患をもつ患者とその家族に精神的ケアを行う看護師です。

他診療科の看護師などと連携し、質の高い看護ケアを提供する役割を果たす。
また、看護師や医療スタッフのメンタルヘルス支援や、教育・研究活動も行なっています。

こちらは、また別の機会に詳しく書こうと思います。

日ごろから、自分の体調異変に気が付くことも必要です。しかし、災害時は自分のことより人を助けることを優先してしまいがちです。自分でサインを出せない時、周りが気が付くことも必要なのです。

心身相関。心と身体はつながっています。身体のサインはしんどいサイン。みなさんの自分自身の心と身体に向き合ってみる時間をとってみてくださいね。

今日も最後まで読んで下さりありがとうございます。

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